2012年9月23日日曜日

プロジェクションマッピング


 祝!東京駅丸の内駅舎保存・復原(現存する建造物について、後世の修理で改造された部分を原型に戻すの意だそう)工事完成! 歴史ある建築を残すのは本当に大切なことだと思います。そして、日本でも大規模なプロジェクションマッピングが開催されるようになってきたんですね。あまりの混雑に3回上映予定だったのを、最後の一回はとりやめたようですが、建築と映像の融合、どんどん広まってほしいです。

 昨晩のは動画サイトで見ただけですが、やや企業色の強いものですね。もうちょっと詩的な要素が加わると素敵な気がしました。個人的には去年のスペインはガリシア地方のサンティアゴ・デ・コンポステーラで、サンティアゴ大聖堂の創建800年を記念した式典のプロジェクションマッピングの方が、今のところ、マイベストです。
Fuegos del Apóstol. 2011. Mapping Obradoiro. Oficial from vjspain.com on Vimeo.


 おまけで今年5月のオーストラリアはシドニーのオペラハウスでのプロジェクションマッピング。アートって感じがします。

2012年9月2日日曜日

デンマーク風力発電


 石油を輸入に頼る小国デンマークは、オイルショックを経て、代替エネルギーの研究が盛んになり、1991年に史上初めて洋上風力発電所が建設されたのが、ここデンマークでありました。洋上風力発電用のタービンに関してはデンマークに拠点を置くシーメンス・ウィンド・パワー社(シーメンスの子会社)とベスタス社が世界シェアの 91.8%(2010年時資料)を担っています。現在は国全体の電力の20%がこの海の中に立つ風車が賄っており、2025年には50%以上にまで増やすべく、現在も続々と建設中だそうです。


 コペンハーゲン空港を飛び立ってすぐ、飛行機の上からが見えたのが特に印象的でした。風力発電は、開発可能な量だけで人類の電力需要を十分に賄える資源量があるとされています。世界全体で実際に発電可能な量の見積もりは、一説では年間498000TWh(テラワット時)が発電可能とされており、これは世界全体の電力需要量(14TW)の約4倍に相当します。石油やウラン、限りある資源から、自然エネルギーへの転換。世界中で起きている醜い争いも吹き飛ばしてもらいたいです。


 人もまばらな早朝のコペンハーゲンを散歩していると、背後頭上から「ヘイメン、ピース!」と叫び声が。振り返り見上げると、道路の中央分離帯にそびえるモニュメント(柵がしてある)によじ登って呑んでる女性2人の姿。そう、平和こそが僕らの願い。僕も「ピース!」と叫びながらカメラを向けてシャッターを切りました。


 シリアで銃撃された山本美香さんの悲報は北欧で聞きました。ブルームーンと夏の終わりの雨上がり、メランコリックな気分にのせて、ベトナム戦争時の反戦歌、ナパーム弾を雨に比喩したといわれる、Creedence Clearwater Revivalの"Have You Ever Seen The Rain"を捧げます。

コペンハーゲン自転車事情


 自動車の新車を購入する場合の税金が登録税(デンマークは国産車無くすべて輸入車の為、輸入税とも言える)が車体価格の105%+180%(少々ややこしいので説明は割愛)、更に消費税が25%課せられるので、車体価格200万円の車は550万円となってしまいます。おまけに重量税に加え、グリーンTAXという燃費が悪いほど税率が高い環境税も課せられます。ガソリンも輸入税の他に二酸化炭素税もかかっており、つまるところこの国は、自転車が重要な市民の足。

 車道、歩道の他に自転車道がかなり整備されており、法規上も例えば自転車道上で歩行者がよそ見していて自転車とぶつかると、サイクリストの怪我まで歩行者の方が面倒を見ることになります。なので、自転車は歩行者がいるからといって、ブレーキしたりしないので、自転車道上を横断する時は要注意です。そのかわり、サイクリストはスイスイ気持ち良さそうに街の中を駆け抜けていました。


 
自転車が街中にあふれています。

2012年9月1日土曜日

コペンハーゲン



その知名度の高さに比べ、実物は全長80cmの像が特に周りに何もない海辺の岩場にポツンと佇むことから、世界3大がっかり名所の一つともいわれるアンデルセンで有名な「人魚の像」。この人魚姫像は来年100歳を迎えるのですが、過去2度にわたり何者かにその首が切り落とされ、1度は腕がもぎとられ、2003年にはなんと爆破されて、胴体が海に投げ出されたという。小説も悲しい物語ですが、これもまた悲しい物語。



イルムス店内
ジョージ・ジェンセン


レ・クリント
ルイス・ポールセン




 さすがはデザイン大国デンマークのコペンハーゲン。メインストリートは有名無名ひたすらオシャレなお店が並び、ロイヤルコペンハーゲンとジョージ・ジェンセンとイルムス・ボーリフスはフロアがつながっており、驚異のロイヤルショッピングエリアを形成していました。僕は妻にプレゼントでもと、輝くショーケースの前でデンマーク・クローネを必死に円に換算してみたのですが、0がいくつも出て来て、冷や汗が吹き出てきました。本気で物価高いです、税金高いです、かわいい雑貨で許して下さい。

フレデリスクボー城

ヘルシンキ

地下鉄ヘルシンキ中央駅

アラビア工場
マリメッコ


2012年のWorld Design Capitalはフィンランドのヘルシンキが開催国ということで、
街のいたるところで、アートや音楽ライブに大道芸が繰り広げられていました。












 僕が敬愛してやまないフィンランドを代表する建築家アルヴァ・アアルト(自然素材を近代建築へ巧みに取り入れ、温もりのある作風の20世紀を代表するモダニズム建築の巨匠。世界で最も美しい住宅の一つ、マイレア邸などが有名)が妻アイノ・アアルト(デザイナーでミラノ・トリエンナーレ展にて金賞を獲得したiittala社のグラスなどが有名)らとともに、1935年に設立したartek(アルテック)。コンセプトは、artek=art(芸術)とtechnology(技術)の融合。ロシア統治からの独立後の混乱の中で、祖国フィンランドをこよなく愛し、日本と同じく森林資源が豊富なこの国において、確かなフォルムと安定した品質で大量に供給できるようにした彼の木製家具は、70年以上を経た現代も世界中で愛用者が多いです。特に曲げ木の技術はアアルトレッグと呼ばれ、世界唯一の製法。そのフラッグショップであるここはアアルトの家具のみならず、ウェグナーやフリッツ・ハンセンなど北欧の一流デザインをセレクトした総合インテリアショップ。コムデギャルソンとのダブルネーム商品も1コーナー展開されていて、日本人として嬉しかったです。


 この日はおりしも、店内ではデザイン出版関係のパネリストが招かれて、トークショーが繰り広げられていました。華やかな雰囲気の中、シャンパンが飲み放題で、まさに天にも昇る気分でありました。ほろ酔い気分で、アアルトがデザインした照明器具を思わず購入してしまいました。



 戦後、不可能といわれた過酷な賠償金を支払い期限の半分強の6年間で支払い終え、その後、政治的にも外交的にも安定、ヘルシンキオリンピックを経て経済面でも急速な発展を遂げ、世界で最も生活水準の高い先進民主主義国、福祉国家のひとつとなったフィンランド。アアルトの自邸やアトリエ、「かもめ食堂」、ムーミンワールドやサンタクロース村なども行ってみたかったのですが、次回に夢を託して。ヘルシンキ市内では日本人の個人旅行者をたくさん見かけました。有色人種もたくさんいて、他の北欧都市と比べると僕らのようなマイノリティーも多少暮らし易いのかなという印象を受けました。ちなみに北欧4ヶ国の中で、唯一ユーロを通貨とする国です。